私が初めてジョージを見たのはBad Boysのプロモーションビデオだったと思う。当時小学生だった私は、土曜日の授業が終わると家で昼食をたべながら仙台放送のサターデーマガジンα(通称サタマガ)でポップスベストテンを見るのを楽しみにしていた。
この番組のおかげで急速に洋楽が宮城県全体のキッズからヤングワーカー(たぶん・・・?)位まで広がっていったのを覚えている。だから今以上に外タレの仙台公演が多かったし、とにかく盛り上がっていたと記憶している。
当時はアメリカではBritish Invationという現象が起こっており、Billbord TOP100にはイギリスのアイドルシンガーやバンドが続々と名を連ねていた。アメリカとかイギリスとか分からなかった小学生の私には、何がインベージョンで誰がアメリカ人でイギリス人なのかさっぱりわからなかったのだが、とにかく洋楽の入口はカルチャークラブやデュランデュラン、ワムといったBritishのアイドルグループであった。
ワム!を初めてみたのがBad Boysだったのと、彼らのいかにも駆け出しのアイドル風の外観から察して、あの曲はきっと誰か大人がつくった曲で彼らは歌わされてるだけのアイドルグループだと信じていた。しかも「ばっとぼーいず~」なんて歌詞ださくね?と当時でさえちょっと思っていた。その後日本でWake Me Up Before you go go[邦題:ウキウキウェークミーアップ(笑)]が発売されてから、ポップなリズムとちょっとグレードアップしたジョージの外観も手伝って、Wham!は急速に日本のファンをとらえていた。TVではワム!の二人が出るマクセルのカセットテープのCMが頻繁に流れていた。
続いてジョージのソロCareless Whisperが出ると人気に拍車がかかった。Careless Whisperは日本で西條秀樹と郷ひろみがカバーしていずれもヒット。その頃Wham!が来日してエフエム東京のラジオ番組に出演した。たまたまラジオをつけるとワム!の来日記念番組をやっていて、途中から聞きはじめた。その時の話題がCareless Whisperのカバーの話で、真剣に聞き始めたのだが西條秀樹の歌う「抱きしめてジルバ」というタイトル名を聞いてワム!二人が激ウケ!!「なんでジルバなんだ??」と言っていたのを覚えている。その時の私の気持ちは日本を代表してひどく恥ずかしいと思った。確かにCareless Whisperにジルバなんて歌詞はどこにもない。似てる音があるとすれば「I should’ve known better than to cheat a friend」の 「cheat a friend」のところがジルバに似てる?かな。ちょうどその部分が「ジルバ」って歌詞になっていたと思う。バブリーな当時日本人は欧米人にひどくコンプレックスを持っていたが、こんな事ひとつとってもだから日本人はダメなんだよーと感じていた。